技術情報

AI深層学習画像検出技術

深層学習(ディープラーニング)は、機械学習(マシンラーニング)と呼ばれるAI技術の中のアルゴリズムの一つです。深層学習は、データや情報の伝達の仕方をヒトの神経回路網に似せた人工ニューラルネットワークという計算技術を使用します。ニューラルネットワークはデータや情報伝達の回路網ですので、伝達する方向に層が存在し、特にその層が深いニューラルネットワークを「深層学習」と呼びます。ニューラルネットワークにも様々な種類がありますが、画像検出には「畳み込みニューラルネットワーク」を使用します。また、深層学習の方式にも、「教師有り」と「教師無し」があります。

当社のAI深層学習画像検出を活用した検査装置の開発では、「教師有り」を採用することが多いですが、その場合、NG画像を事前に準備し、画像中の欠陥の種類分け(「クラス」分別)をし、種類(クラス)と画像中の欠陥の座標の紐づけを行ったデータを作成(「ラベリング」)します。ここまでが「アノテーション」と呼ばれるデータ前処理で、このような前処理されたデータを、画像データとともにニューラルネットワークへ入力し、ニューラルネットワークの最適化の計算(画像検出するための特徴量の抽出が可能になる計算)の処理を行います。処理の計算自体は、ディープラーニング専用コンピュータが実行します。AI深層学習には、ルールベース方式のようなアルゴリズムの検討や画像処理のプログラミングが一切必要ありませんが、代わりに、以上のような一連の「学習の手続き」が必要です。

AI深層学習を活用する最大のメリットは、多様性がある色々な画像を学習させることで、ルールべ―スでは検出できない不定形・不規則な形の対象物が検出できることです。また、シビアな撮像条件で撮像した画像も学習させることができますので、ルールベース方式と比べて、カメラ、レンズ、照明等の光学機器が安価なもので実現可能な場合も多く、精緻な光学条件や撮像条件も必要ありません。作業者が画像処理の知識を特に持たなくても、ルールベース方式と比べて運用しやすい点も大きなメリットです。一方、AI深層学習は、画像処理技術を使って可能な“GIGI”の4つのうち、Gauge(寸法計測)ができませんし、「学習の手続き」にはある程度経験やコツが必要で、注意が必要な点もあります。

AI深層学習画像検出のメリット

  • 学習により不定形・不規則な形を検出できる
  • 撮影条件が悪くても学習により検出が可能
  • オペレーションが簡単で運用しやすい

AI深層学習画像検出のデメリット

  • GIGIのうちGauge(寸法計測)ができない
  • 学習の手続きに経験とコツが必要となる

当社のAI深層学習による画像検査装置ですが、クラウドを使用しない設計で、開発した装置はオンプレミスですべて売り切り製品ですので、運用開始後の固定費の心配はまったくありません。

当社AI深層学習画像検出装置の特徴

  • ❶ クラウドを使用しないためランニングコストがかからない

導入実績

  • 埼玉キッコーマン株式会社様の食品パウチ重なり検査を自動化

課  題

埼玉キッコーマン様では、コンベア上をトレーに載せられて滅菌工程へと流れていく食品パウチの重なりを、作業者が一人でコンベア脇から目視検査を行っていました。食品パウチが重なっていると、パウチの重なった個所が滅菌されず、賞味期限が短くなってしまう恐れがあります。滅菌工程の前には検査が必要なため、必ず全件目視検査を行う必要があり、作業者にとっては大きな負担でした。既製品のルールベース方式の画像処理ユニットで、検査の自動化が可能かどうか検討もされましたが、食品パウチ自体に光沢があり、液体のような内容物の状態によって形も不規則・不定形で、既製品のルールベース方式による画像処理ユニットでは自動化が困難な状況でした。

解決策

AI深層学習を用いて、様々な多様性がある画像を学習させ、形が不規則・不定形な食品パウチでも検出ができるようにしました。トレー上の食品パウチの重なりを検出するだけではなく、パウチの種類ごとに学習させ、種類の違い(異種混入)も検出できるようにしました。

成  果

作業者1名を目視作業から解放して無人化し、現在は、100%自動検査を行っています。6種類の食品パウチについて検査ができ、追加学習を実施することによって、新商品の食品パウチの検査にも対応が可能になりました。

開発期間

カメラ・レンズ・照明選定、撮像検証、画像データN増し、ディープラーニング学習、検査ステーション構造物設計・製作、ソフトウェア開発を含めて、約4ヵ月。

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